#15,復帰戦「現代ゴルフ」の洗礼。プレーフーストの荒波でパニック状態!?
深すぎるバンカー地獄と崩壊した距離感。過酷な18ホールを終えて見えた「次の一手」
怒涛のプレーフーストに揉まれ、ティーグラウンドでパニックになりかけた私だったが、実は今回、ひとつの「実験」を試みていた。
「ドライバーを封印し、ティーショットを全て4H(4番ハイブリッド)で打つ」という作戦だ。
ブランク明け+病み上がりの腰で、一番長くて曲がりやすいドライバーを振り回せば、即・OBの大爆発を起こすのは目に見えている。
AIと相談し、「ドライバーなんて持たなくても110は切れる」という仮説のもと、信頼できる私の神クラブ4Hを相棒に選んだのだ。
結果として、この判断は大正解だった。
もちろんプレッシャーから右のラフや林に打ち込む場面もあったが、ティーショットで致命的なOBを出さずに済んだのは完全にこの4Hのおかげだ。「ティーショット=ドライバー」という固定観念を捨てるだけで、これほど精神的な余裕が生まれるのかと感動すら覚えた。
ヘタしたら同行者のドライバーと同程度の飛距離を出すこともあった。
さらに、ラフ以外の平坦なライから打つアイアンショットに関しては、意外にもナイスショットが連発!練習場で積み重ねてきたスイングの感覚がしっかりと活きており、「アイアンなら戦える」という確信めいた手応えを得ることができた。
……と、ここまでは良かったのだ。
問題は、一度右の深いラフや林のトラップにハマった後の「リカバリー」だった。
前編での焦りが尾を引いたのか、今回一番印象に残ったのは「ひたすらコース右側の過酷なエリアを、ダフりながら進むしかなかった」という絶望のログだった。
木に当たって運よくフェアウェイに戻ってくれれば儲けものだが、現実は甘くない。鬱蒼とした林の中からガサゴソと3打ほど刻み、ようやく視界の開けた先にグリーンが見えてきた。
「よし、ここから一気にグリーンオンだ!」
ここぞとばかりに放った渾身の一打。
しかし、ボールは無情にも美しい放物線を描き、グリーンの手前にぽっかり口を開けたバンカーへと吸い込まれていった。
駆け寄ってみて絶句する。
そこはただの砂場ではなく、見上げるような急角度の高低差がある「地獄バンカー」だった。
そびえ立つ壁、削られる体力。
打っても打っても反り返った砂の壁に阻まれ、ボールが足元へ戻ってくる。
何打打ったのか、もはや恐怖で記憶が定かではない。
5打以上は打ったから、スコアカードには静かに「+10」とだけ記録しておいた。
やっとの思いで脱出し、なんとかグリーンへ到着。己の不甲斐なさもさることながら、後ろで待ってくれている同行者への申し訳なさで胸がいっぱいになる。
小雨がパラパラと頬を叩く中、グリーン上で新たな「現場ルール」に遭遇した。
パターを拭くタオルの使い回しだ。
事前に調べてもイマイチ分からなかったのだが、今日の組では3人で2枚のタオルを共有して使っているようだった。
このあたりの細かな立ち回りは、一緒に回るメンバーのローカルルールに柔軟に合わせるのが吉だろう(もちろん、マイタオルをポケットに忍ばせておくのが一番安心だ)。
そして、いざ自分のパッティングの番。
自宅のマットで密かに積み重ねてきた練習の成果が、ここで華々しく発揮される……はずだった。
しかし、現実はどこまでもシビアだった。
生の芝目、アンジュレーション(傾斜)、湿り具合。
あらゆる環境要素が私のパッティングを拒絶する。
何より、そこへ行き着くまでに林とバンカーで体力を削られ、ヘロヘロになった状態ではまともな平衡感覚すら残っていないのだ。
「自宅練習と本番のグリーン、一体どうやって埋めればいいんだ…?」
これはもう、現場で様々なグリーンを経験し、脳内のパターン認識データ(機械学習)をアップデートしていくしかないと痛感した。
パターには絶対的な自信を持っていただけに、この理想と現実のギャップはボディブローのように効いた。
さらに私を追い詰めたのが、「目測(距離感)と実際の打感の致命的な不一致」である。
「この距離なら56°でジャストだな」と打てば見事なショート。「じゃあ48°で転がすか」と打てば、ボールはグリーンをオーバーしてOBの闇へ消えていく。事前のシミュレーションで絶対に回避したかったはずの「ウェッジ領域(100yd以内)でのミス」が、現場で多発した。
アイアンの距離なら多少の誤差で済む話も、グリーンに近づくほど繊細さが要求される。すぐそこにはバンカーやOBという罠が牙をむいて待っているのだ。
レーザー距離計を見る時間的余裕など、怒涛のプレーフーストの中には1秒も残されていない。
自分の生体センサー(目測)を信じて打つしかないのだが、残念ながらその精度はどん底だった。
腰の故障(病み上がり)以上に、焦りによるメンタルの乱れが打点を狂わせていたのだろう。
焦れば焦るほど、泥沼へと引きずり込まれていく。
平静を保つのがやっとで、心の中では何度発狂の叫びを上げたか分からない。
そんな極限状態のフライトが、全18ホール続いた。
こうして迎えた、再デビュー戦の最終スコア。
結果は……「150」。
予想をはるかに下回る、数字だけ見れば惨敗である。
内心「130、悪くても140くらいでは回れるだろう」と高を括っていた自分を殴りたい。
だが、言い訳がましく聞こえるかもしれないが、今回のミッションにおいてスコアは最優先事項ではないのだ。
ギックリ腰の大爆発からわずか4日で、18ホールを無事に完走できたこと
現代ゴルフの進行テンポ、現場のマナー、空気感を身体で回収できたこと
この2点を無事に達成できたことこそが、今回得られた最大の「大収穫(データ)」である。
練習場でいくらナイスショットを連発しようが、コースという実戦環境には全く別の魔物が棲んでいる。それを身をもって体感できたからこそ、明日からの練習プログラムはより実践的で高精度な内容へとアップデートできるはずだ。
「期限内に110切り」というターゲットに向けて、かなり不安の残る復帰戦となったのは間違いない。
しかし、失敗のデータが出揃ったということは、あとはその課題を一つずつ潰していくだけだ。
110切り作戦は、まだ始まったばかり。
次回からの巻き返しに、乞うご期待!












